投稿日:2020.11.20
ぽつり、ぽつりと降り出した雨。なかなか止まない雨の中、レインコートを着たり傘をさしたりして行きかう子どもたち。どの子も、元気がなく悲しそうな顔でうつむいています。
「顔を上げてごらん」
雨音の中にふと聞こえてきた、優しい声。その声に促され、みんなで指を差して見上げたその先には―。
雨も上がり、うつむいてばかりでは見えない景色が広がっていたのでしょう。
悲しいことやつらいことには、手を振ってさようなら。
はつらつとした「♪雨のちハレルヤ」の歌の向こうに、心の中に秘めた強い意志と温かい思いやりが見えるようでした。
「ぼくたちは、なにもできないままのかな?」
「どうしたらいいんだろう?」
降り続く雨に、不安になるときもあります。
けれど、『止まない雨はない』。
雨が降るから憂鬱になるのではなく、雨が降るからこそ見られる素晴らしい景色が待っていると、みんな信じています。
想像したのは、大きな虹のかかった青空。
その景色を心待ちにしながら、レインコートを脱ぎ捨てたみんなの服は、あか、だいだい、きいろ、みどり、みずいろ、あお、むらさきの7色。ステージ一面に大きな虹をかけて歌った「♪にじ」は明るい曲で、みんなの表情も晴れ晴れとしていました。
明日の晴天を祈りながら、金子みすゞの詩「おひさん、あめさん」の群読へ。
気持ちをそろえ、声をそろえての群読は、まるで雨上がりの澄んだ空気の中で草むらに座ってつぶやいているかのようでした。
「♪あすという日が」の中盤、「いっしょうけんめい生きること」というフレーズを歌うときには、小さい体からあふれる力強さを感じさせました。
そして再び聞こえた優しい声は、「止まない雨はないし、乾かない涙もない。前を向こう」と語りかけます。
始めのしょんぼりした気持ちはすっかり消え、最後はみんなで
「あした、てんきになぁれ!」
〈学校長より〉 「止まない雨はないんだ」 「雨が降るから、虹もかかる」 会場に響き渡った1年生のこのセリフに、どれだけ多くの人たちが心を震わせ、勇気をもらったことでしょう。当たり前に小学校生活を始めることのできなかった1年生がここまで「超越」した姿を見せてくれたことに、本当に感動しました。先の見えないコロナ禍の中で一筋の希望の光を見出すことのできた、素晴らしい演目でした。
見上げた先には…
明日もみんなで空を見よう