投稿日:2020.12.07
生涯で9つの交響曲を世に送り出した「楽聖」ベートーヴェン。その中でも、「ジャジャジャジャ~ン」と文字にしただけでも分かるほど有名な5番目の交響曲は、通称『運命』と呼ばれ、37~38歳のときに作られたといいます。本人が「運命」というタイトルをつけたわけではないそうですが、「苦悩を突き抜け歓喜に至れ」を人生の主題としていたと聞くと、耳の病気と闘っていたベートーヴェンが音楽にどれほどの熱を注いできたのかが分かるような気がします。
さて、そんな大作『交響曲第5番』の合奏に挑戦した5年生。時間にして10分以上にもなる曲を暗譜してステージに立ちました。弦楽器などを用いたクラシックオーケストラにみられる本格的な楽器編成はできませんが、鍵盤ハーモニカやリコーダーを使い、「今の自分たちだからできる演奏、自分たちにしかできない『交響曲第5番』」の完成を目指しました。
曲の出だしの一音をそろえるために指揮者を見つめる5年生全員の集中力は、会場のみなさんにも伝わっていたと思います。第1楽章は繰り返されるあのフレーズで緊張感のある演奏、第4楽章は「暗」から「明」に転じたように大きくイメージを転換させる演奏で、堂々とした様子が印象的でした。本番ではこれまでの練習への取り組みが大きく花開き、「全員で音楽を作り上げる喜び」をしっかり感じ学ぶことができました。
〈学校長より〉
ベートーヴェンの「運命」を合奏すると聞いたとき、「何であんな難しい曲を・・・」と心配しましたが、その不安を吹き飛ばしてくれる見事な演奏でした。各々が自分の楽器とパートに強い責任を感じ、それを全うしようとする気迫。一音のブレをも許さんとばかりに指揮者を見る強い眼差し。そして、何より一つに心を合わせようとする連帯感。この学年の大きな可能性を随所に感じることのできる演目でした。