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2学期終業式(1)校長講話

 暑さに辟易としながら始まった2学期も、今日で終わり。生徒、教職員みんなで励んだ大掃除のおかげで、学校は隅々まできれいになりました。
 生徒のみなさんには、たくさんの行事を経験する中で得られた学びを糧とし、「結果を求められる3学期」に向けて有意義な冬休みを過ごしてくれることを願います。
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【校長講話】
 2026年を迎えるにあたり、みなさんの未来に関する話をしようと思います。
 みなさんは、シンギュラリティという言葉を知っていますか? 今から20年前にアメリカの発明家・実業家であるレイ・カーツワイル(Ray Kurzweil)が提唱したもので、「人工知能が人間の能力を上回り、人類の在り方が根本的に変わる転換点」を意味します。カーツワイルは、このシンギュラリティが、遅くとも2045年までにはやってくると予測しましたが、もしそうなったらどうなるかを考えてみましょう。

 まず、いいこととして、人類の生産性が飛躍的に向上するといいます。例えば、いま、1人が1日に作れるスマホが5台だとして、それが20台、30台にもなるくらい効率がよくなるということ。医療をはじめとする様々な分野でも、さらなる進歩が期待されます。
 一方で、好ましくないことも起きそうです。今から50年以上前、スタンリー・キューブリック(Stanley Kubrick)が作った映画「2001年宇宙の旅(2001:A Space Odyssey、1968年公開)」では、木星に向かう宇宙船の中でAIが暴走し、人間が翻弄されるさまが描かれました。これが現実になるかもしれません。
 そして、AIの発展は、いま人間が行っている仕事・職業の6~7割を奪うとされ、アメリカではすでにその影響が出始めています。大学を卒業しても就く職業がない...そんな未来が現実味を帯びています。

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 では、そうならないために、「AIに負けない」ために、どんな力が必要でしょうか。
 テクノロジーを知り、扱えることは当たり前。それに加えて、次のような力が必要とされます。
 膨大な情報の真偽を見分ける「判断力」。集められた情報を論理的、体系的に積み上げる「思考力」や、「課題発見力」。その先で到達した考えを他者に正確に伝える「表現力」。ゼロからイチをつくるための「想像力・創造力」。 これらは私たち人間が経験から学び、体得できるものであって、AIが同じようにできることではありません。。
 AIの知識は「データ」に過ぎませんが、人間は「本物」に触れられる。自分の五感を通じて感じたこと、悩んだこと、考えたことなどを、自分の言葉に置き換え、自分の中に積み上げていくこと。こうした体験が、人間のみが持ち得る力の源です。
 私が、今ここで手にしているスマートフォン。とても便利ですが、世界のすべてはこんなちっぽけな機械の中にありません。
 空を見る。風の流れを感じる。土のにおいをかいでみる。自分の体で、スポーツを楽しむ。自分の足で旅をして、感じたことを心に留める。本物の芸術に触れ、感動を覚える。本物の人間関係の中でもまれ、いろいろなことを考え、悩む。
 どうか、さまざまな「本物」を経験してください。学校の教育理念である『未来を創造する力』は、みなさんが日々を過ごす中で得られ、蓄えられていきます。
 シンギュラリティの訪れまであと20年...いえ、もっと早まるかもしれません。未来を生きるための力をつけられるよう、時間を大切に過ごしてください。